映画関連情報 2017.8.10

ヴェネチア映画祭最高賞受賞間違いなし!是枝監督 最新作「三度目の殺人」は凄まじい映画だった!!

皆さん、こんにちは。今日はご報告しなければいけない事があります…

実は私、この度裁判所に出頭しなければいけなくなってしまいました。

犯した罪は、道路交通法違反。

仕事中に焦って、阪神高速池田線の制限速度を超過していまいました…

本当に愚か者です。然るべき裁きを受け、二度と違反を起こさないよう安全運転に努めて参ります。 (※皆さんもお車運転の際は、くれぐれも気をつけて、安全運転を心がけてくださいね!)

ところで、皆さん。「裁判」って見た事ありますか???僕も一度は本物の裁判を見てみたいなと思っていたりするのですが、裁判所って普段滅多に接点のないものですよね。

そもそも裁判って、一体どういう場なのでしょうか?

真実を導き出して、罪を犯した悪い人に罰を下すのが裁判?

そもそも神様でもない人間が、人間を裁く事なんて本当に出来るのでしょうか?

そんな答えもあるかどうかわからないような深いテーマに、ひとりの映画監督が挑みました。

監督の名は、是枝裕和。

是枝監督とは?

(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

是枝裕和
1962年6月6日生まれ。東京都出身。1995年、『幻の光』で監督デビューし、ヴェネツィア国際映画祭で金のオゼッラ賞を受賞。2004年の『誰も知らない』では、主演を努めた柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞。近作には、福山雅治主演、カンヌ国際映画祭審査賞他、国内外の数々の賞に輝いた『そして、父になる』(2013)、カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、日本アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、撮影照明賞の4冠達成に輝いた『海街Diary』、カンヌ国際映画祭、ある視点部門に正式出品された『海よりもまだ深く』(2016)がある。

是枝監督の映画と言えば、ホームドラマの印象が強いという方も多いのではないでしょうか?

何気ない家族の会話から「あ〜、あるよね、こういうのあるよね」という、決して綺麗事だけではない家族同士のリアルな心情を描いたり、「そもそも家族って何?」っていう本質に迫った作品も多いように思います。

しかしそんな是枝監督が今回作り上げた映画は、これまでのホームドラマとは一線を画すまさかの法廷劇。監督は、これまでとは全く違ったところに目を向けて、新しい挑戦をしたかったと言います。

映画『三度目の殺人』とは?

(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

映画『三度目の殺人』あらすじ
それは、ありふれた裁判のはずだった。殺人の前科がある三隅(役所広司)が、解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。犯行も自供し、死刑はほぼ確実。しかし弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は、なんとか無期懲役に持ち込むために調査を始める。何かが、おかしい。調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。三隅の供述が会うたびに変わるのだ。金目当ての私欲な殺人のはずが、週刊誌の取材では被害者の妻・美津江(斎藤由貴)に頼まれたと答え、動機さえも二転三転していく。さらには、被害者の娘・咲江(広瀬すず)と三隅の接点が浮かび上がる。重盛がふたりの関係を探っていくうちに、ある秘密に辿り着く。
なぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?得体の知れない三隅の闇に呑みこまれていく重盛。弁護に必ずしも真実は必要ない。そう信じていた弁護士が、初めて心のそこから知りたいと願う。その先に待ち受ける衝撃の真実とは?

今回、実はGAGAさんのメディア試写会にお邪魔し、一足早くこの映画を拝見させて頂いたのですが…

この映画、一言で言えば、かなり凄まじい映画でした!

観終わった後に、しばらく他の事が一切手につかず、あのセリフはどういう意味だったんだろう?是枝監督は何が言いたかったんだろう?ってずっと考えて寝付けなくなってしまうくらい、それはそれは深い映画でした。

今年のヴェネチア映画祭のコンペ部門に正式出品されるとの事ですが、まず受賞は間違いでしょう。

この作品が受賞出来なかったら、イタリア人を疑いますよ。好物のパスタも食べるのやめますよ。

では何が凄まじかったのか、今回は少しテクニカルな面も含めて、ネタバレ無い範囲で少しご紹介させて頂きます!

①撮影ーここぞという時の1カットの画作りが凄まじい

映画「三度目の殺人」は、そのシーンのほとんどが登場人物の会話シーンです。一見単調になりがちなこの会話シーンを緊張感を持って観てられるのもこの撮影での画作りがあってこそ。

今回も撮影監督を任されたのは、瀧本幹也さんです。

瀧本幹也
1964年愛知県生まれ。藤井保氏に師事の後、瀧本幹也写真事務所設立。広告写真をはじめ、グラフィック、エディトリアルワーク、自身の作品制作活動、コマーシャルフィルム、映画など幅広い分野の撮影を手がける。東京ADC賞、ニューヨークADC賞 GOLD、カンヌライオンズ国際広告祭 GOLD、ニューヨークCLIO AWARDS GOLD、ロンドンD&AD YELLOW PENCILなど国内外での受賞歴多数。また2013年からは、是枝裕和監督との映画撮影にも参加し、『そして父になる』では第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門審査員賞を受賞。2015年には『海街Diary』で第39回日本アカデミー最優秀撮影賞受賞。本作が映画長編3本目の参加となる。

リリーフランキーさんと深津絵里さんが夫婦役でカットバックするこの有名なCMシリーズ。僕も大好きなCMです。

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これを撮られているカメラマンさんですよね。是枝監督がこのシリーズのCMを観て、瀧本さんを『そして父になる』の撮影監督にオファーしたとか。

広告写真やCM出身のカメラマンさんという事で、やはり一枚の絵で観ている者を惹きつける力は圧倒的ですね。

しかし、瀧本さんがさらに凄いなあと思うのは、しっかりと画にメリハリをつけているところ。全てが広告写真、CMのような印象的なカットばかりだと、正直観ている方も疲れてしまいます。

(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

普通の会話をしているシーンは、基本的に落ち着いて観られるオーソドックスな肩越しのアングルで魅せつつ、ここぞというシーン、登場人物の重要なセリフを聞いてもらいたいシーンでは、実に独特且つ絶妙な画角・アングルで、登場人物をより際立たせる印象的な画を作られています。

この画のメリハリ、バランスが絶妙で、最後まで観客は集中力を切らさずに映画を観ることが出来ます。

そして終盤の接見室シーンで思わず、これはCG合成しているの?っていうシーンがあるのですが、このカットはCGではなく撮影監督が自ら発見して撮影したものなんだそうです。

映画観てないと、なんの事か分からないと思うので、とりあえず映画を観ましょう。

②照明ーキャッチライトが印象的

「三度目の殺人」は、人物のクローズアップの映像が多用されています。その中でも特に印象的だったのは、ここぞというシーンでほぼ必ずと言っていいほど、目にキャッチライトが入っている事です。

(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

(※キャッチライトとは簡単に言えば、光を反射させて、被写体の瞳の中に白い光の輝きを入れる事です。)

本当にこれほどキャッチライトが入っている映画作品は他にあるのかってくらい、印象的でした。

また本来キャッチライトは被写体を魅力的に見せる、美しく見せる用途で使われる事が多いですが、この作品の中ではキャッチライトが入っている事で、より登場人物やそのセリフにより恐怖感が足されるように感じました。

2時間以上もある映画。そのほとんどが会話シーンで、観客がその会話を常に集中力を保って、聞くのは至難の技です。こうした撮影や照明にメリハリをつける工夫がされている事で、登場人物の重要なセリフがより強く印象づけられ、最後まで緊張感を持って映画を楽しむ事が出来ます。

③美術ーリアルであると同時に美しい

また、この作品の美術を担当したのは、クエンティン・タランティーノやジョン・ウー等、海外の名だたる巨匠監督達からも愛される種田洋平さん。

種田洋平(美術監督)
岩井俊二監督の『スワロウテイル』(1996)などで注目され、タランティーノ監督の『キル・ビルVol.1』を手がけて以来国際的にも高く評価される。『THE 有頂天ホテル』(2005)『ザ・マジックアワー』(2008)など三谷幸喜監督作品、『フラガール』(2005)、『悪人』(2010)など李相日監督、根岸吉太郎監督『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』(2009)の他、チャン・イーモウ監督『フラワーズ・オブ・ウォー』(2011)、スタジオジブリ作品である米林宏昌監督の『思い出のマーニー』(2014)、タランティーノ監督『ヘイトフル・エイト』(2016)など話題作多数。是枝作品は『空気人形』(2009)以来2作目。公開待機作にジョン・ウー監督『追補/MANHUNT』がある。

法廷や拘置所、接見室等、本当にリアルに設計されているのですが、同時になぜか「美しい」と感じられる美術でした。

特に最後に弁護士の重盛(福山雅治)と被害者の娘・咲江が法廷の廊下で喋るシーンの背景の淡い色の壁がすごく綺麗で心に残ってます。

普段なかなか目にする事のできない法廷等の世界観を映画の大スクリーンで思う存分感じられるのもこの映画の楽しみの一つですね!

④音楽ー映画に溶け込むような音楽

そしてなんと音楽を担当したのは、日本人ではありません。ルドヴィコ・エイナウディさんという特にヨーロッパで絶大な人気を誇るイタリアの作曲家です。

ルドヴィコ・エイナウディ(音楽)
1955年11月23日トリノ生まれ。父はイタリアの大手出版社エイナウディ出版社の設立者。祖父はイタリア共和国第2大統領も努めたルイージ・エイナウディ。ミラノのジュゼッペ・ヴェルディ音楽院で作曲を学ぶ。ポップ、ロック、フォーク民族音楽の要素を取り込んだ独自の音楽スタイルを確立し、幅広い世代のリスナーを獲得。アルバム『Una Mattine(朝)』(2004)は、イギリスのクラシック・アルバムチャートで第1位を記録。さらに『時の移ろいの中で』(2013)は、クラシックアルバム史上初めてダウンロードの販売数がCDの販売数を上回る新記録を樹立。世界的にヒットした『最強のふたり』(2011)のスコア他、映画やCMへの楽曲多数。

この映画の音楽、良い意味で全くもって音楽を意識しない、映画に完全に溶け込んだ素晴らしいものでした。是枝監督は彼の曲を聞きながら脚本を執筆したそうです。

ここまで映画と音楽がシンクロしている作品もなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。サントラ早く欲しい…

⑤役者の演技ー役所広司さんの怪演、斎藤由貴さんの演技にも注目

説明不要かもしれませんが、この映画、錚々たる役者の皆さんが出演されていますね。

重盛の心の変化を見事に演じきった福山雅治さん、そして是枝監督作品初参加となる、役所広司さんのミステリアスな演技も素晴らしいですが、被害者の妻役を演じた斉藤由貴さんの演技も素晴らしかったです。

重盛(福山雅治)が被告の手紙を持って、被害者の妻宅を訪問するシーンでの熱演、家で娘と父の秘密について語り合うシーンも必見です!

⑥脚本ーテーマが深く、壮大

そして何と言ってもストーリー。今回の映画は、他の法廷ドラマや映画と違って事件の詳細や真相ではなく、『裁判』『人を裁く』これが一体どんな事なのか?という司法のシステム、そのものに焦点が当てられているように思います。

それにしても、こんな壮大なテーマに挑もうと思った是枝監督、本当に凄過ぎます。

詳しい事はネタバレになるので書きませんが、最後に弁護士・重盛(福山雅治)が、犯罪者・三隅(役所広司)に、「あなたは〇〇?」と例えを用いた台詞を放ちます。これが、どういう意味なのか?観た人は、必ず気になってしまうと思うんです。僕自身も本当に気になってしまってしまい、観終わって数日間夜もなかなか寝付けない状態でした。

とにかくこの映画は、観終わった後に「あれ、どういう意味だったと思う?」と誰かとついつい語りたくなってしまうような映画、そして僕と同じように1回観ただけではなかなか理解仕切れず何回か観て答えを見つけたくなる映画、なのかもしれません。

結論ー映画としての総合力が高過ぎる、ヴェネチア映画祭受賞間違いなし!

以上、とにかく国内外の最高のスタッフと役者が集結し、作り上げられた総合力の高過ぎるこの珠玉の映画作品。

公開は、2017年9月9日。そして、この日はヴェネチア映画祭の授賞式の日だそうです!

重ね重ねになりますが、受賞は間違いないでしょう!劇場に足を運んで、是枝組の快挙を祝おうではありませんか!

(C)2017フジテレビジョン アミューズ ギャガ

映画「3度目の殺人」公式HP

<おわり>

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