インタビュー記事 2017.4.21

映画監督になるには、どうしたらいいの?異色の経歴を持つ、安田淳一監督に聞いてみた。

こんにちは!クロフネ編集部のかわあみです。
突然ですが皆さん、映画監督になりたいと思ったことはありますか?
映像制作の経験がある人は、誰もが憧れる存在ですよね。



映画を自分で監督して制作すれば、確かに自称で映画監督にはなれます。よね?
でも、そもそも、映画を作る技術は、どんな経験を積んで学ぶんだ?
映画を作るには、お金はどれくらい必要なんだ?
映画監督って、どんな人なんだ?

映画監督様、教えてくれ~~~~~~!

映画監督に直接聞いてみよう

と、いうわけで、今回は、関西で活動している映画監督、安田淳一さんにお話を伺いました!


安田淳一プロフィール

1967年京都生まれ京都在住。本職は市井のビデオ撮影・製作業。幼稚園の発表会や企業ビデオなどを作り続けた。10年程前から持前の器用さと費用対効果の高さを買われイベントの演出やプロデュース業も請け負う。急に閃いて京都の四条木屋町で油そば専門手を開業。 2013年に自主制作された「拳銃と目玉焼」は2014年春から大阪、香川、京都のミニシアターで先行公開されると口コミで評判を呼び延長公開が相次いだ。その高い娯楽性と映像のクオリティーを認められ同年秋より東映系シネコンで全国6都市のロードショーを実現。観客の好評価がツイッターなどで常に話題となる。現在、最新作『ごはん』を関西で上映中。



『拳銃と目玉焼』

安田監督が「やりたい事をやらんとあかん」と一年発起して、自ら脚本や衣装の用意までを手がけ、3年間かけて制作したヒーロームービー。8万円のカメラとスタッフ3.5人で作りあげた。

『ごはん』

日本映画史上最も美しく水田風景を描き、最もリアルに現代の米作農家を描いた米作りエンタテイメントムービー。

独学で映画監督の道へ

「安田さん、今日はよろしくお願いします!さっそくですが、安田さんは映画監督になるためには、何が一番大事だと思いますか?」

「自分自身が思う結果をまだ出していないのでえらそうなことは言えません。でも、しいて言うなら『どんな映画を、どういうスタンスで撮るかよく考えること』です」

「ふむふむ。スタンスですか」

「後で詳しく話します。それと、映画制作だけでなく、何かをやるかやらないかの決断を迫られた時『飛んで、落ちても死なへんな』と思ったらやってみることですね!」

「すごいこと言ってるぞこの人…」

「僕はそんな感じで生きてきました」

「順序立てて最初から聞かせていただきます…!安田さんが、初めて映画制作に興味をもったのはいつごろでしょうか?」

「高校生の時です。ジャッキー・チェンが大好きで、部活の合間にカンフーアクションの真似をしていました。それが校内で話題になり、ある日、映画研究部の知人が『カンフー映画を撮るんやけど殺陣をつけてくれないか?』と頼まれまして」

「殺陣(たて)…?」

「ついでに顔を隠す条件で忍者のような格好で出演することになりました(笑)これが初めて携わった映画制作です」

「最初は役者からのスタートだったんですね…!じゃあ、高校の時から作品をたくさん作られてきたんですか?」

「その後、友達のお父さんに借りたビデオカメラで青春映画っぽいものは作りましたが、それくらいですね~。特に映画監督を志望していたわけではなかったし。大学生の頃は、自分で電話販売とか結婚式のビデオ撮影の商売を始めましたが…」

「商売?」

「NTTの代理店契約をして、100円ピンク電話の販売をしていました。喫茶店においてあるあのピンクの公衆電話です。自分でセールストークを色々工夫して頑張ってたら月50万くらい稼いでました」

「そんな大学生います?一体いつ映画制作の話がでてくるんだ…?」

「その稼いだお金で、プロ用のビデオカメラを買いました!そのカメラで、京都の平安神宮で結婚式のビデオ撮影もしていましたよ」

「お!ちょっと映像の話になったきたぞ…!プロ用のビデオカメラって、どんなカメラですか?」

「 120万ほどのローンを組んで、ソニーのDXC3000という業務用3CCDの業務用カメラを買いました。 当時は、同じVHSというフォーマットでも、家庭用と業務用のビデオカメラの画質は雲泥の差があったんです。その差を眼の当たりにすると、どうしてもプロ用が欲しくなって」

「120万のカメラを買う大学生…すごい行動力だ…」

「使い方をマスターするつもりで、結婚式のビデオ撮影をやっていました。そこで『自分の美意識を押し売りするのではなく、お客さんの求める映像を撮る』という映像制作ビジネスの根本的な考え方を学びました」

「結婚式のビデオは、出席者が喜ぶものが一番ですもんね。仕事以外で、趣味で映像撮影などは行っていたんですか?」

「 一度だけボクシング映画を撮りましたかね…。もちろん、業務用のカメラは、一般的なカメラから一線を画した映像が撮れます。ですが、デッキはアナログで今のようなパソコンを使ったデジタルな編集環境がありませんでした。編集は、デッキを二台つなげてダビングする要領で行うんですよ。アナログなので、編集をすると画質が極端に劣化してひどかったです」

「アナログ編集ですか…。世代の違いを感じます」

「それに、業務用カメラがいくら綺麗でも、所詮インターレースの映像なので、どうあがいてもフィルムの24コマの動きになりません。ドラマっぽい生々しい映像になってします。かといって8ミリフィルムの荒れた画質には戻れない。映画は、主に画質の問題で映画を撮る気にはなりませんでした。まぁ、今から考えれば映画を撮る大変さから逃げるための口実です(笑) 」

「むむ…。インターレースについてや、生々しい映像、の詳しい説明は、後日別記事で説明を上げさせていただきます。私も勉強不足なので」

「 今は、初心者でも一眼レフカメラなどを手軽な値段で購入できて、フィルムライクな映像を簡単に作れます。だから映画を撮らない言い訳に画質は使えませんね(笑)」

「今だったら、一眼レフカメラは安く買えますもんね」

「平安神宮での結婚式の撮影に話を戻します。ブライダルカメラマンは、プロとしての映像が撮影できるようになるまで、最初は数ヶ月土日ごとにサブカメラマンとして結婚式や披露宴を撮影して、師匠にダメだししてもらって、やっとプロになれるものなんです」

「ふむふむ」

「もちろん師匠に認められるまでは無給。ところが運が良かったのか師匠が甘かったのか、僕は一度サブカメラとして入っただけで『君は次回からメインカメラマンとして入ってね』と言われ、翌週からプロデビューさせてもらいました」

「ナチュラルに自慢じゃないですか! 安田さんの下積み時代は、映像制作会社に就職、とかではなかったんですね。映画監督を目指す人は、まずは制作会社やテレビ局に入って、経験を積むというイメージでした」

「当時は、監督になるには東映などの大きな映画会社に入社して助監督になり、やがて監督になる、という流れがほとんどでした。ところが、一流の映画会社は一流の大学を出ないとダメ。関西の二流私立大卒の僕には無理だなぁと」

「絶対に大手の映画会社に勤めなければダメだったのか~」

「 映画を撮るには、お金がかかりますしね。僕は昔から『お金を自分で稼いで、自分で製作費を出して映画を撮ったほうが早い』と思っていました。その考えのもと、学生時代から商売を始めたんですけど、いつのまにか手段であった商売が目的になってしまって」

「学生の時から、バリバリ商売やってたんですもんね」

「 画質がどうのこうの…という言い訳もあって、40歳まで企業映像や舞台撮影など仕事のための映像は作っても、映画を撮るという事自体からは遠ざかっていました」

「そんな安田さんが、再び映画を撮ろうと思ったきっかけは何だったんですか?」

「30歳後半から、演出と映像制作を含むイベントの仕事が多くなり、そのイベントで上映する短編映画の撮影がきっかけです」

「30代後半か~意外と遅いんですね。イベントで短編映画が流れるって、あまり聞かない気がします」

「イベントの趣旨を伝える映像を作ったんですけどね。お金を掛けてCGを作っても、イベントの主催側の思いは伝わりにくい。 でも、ストーリーを付けた映画で表現すれば、わかりやすく伝えることが出来るはず。そんな提案が通って、イベント用短編映画を作るようになりました。これが案外上手く行き、気がついたら何十本も短編映画を作っていました。結婚式のビデオ撮影をしていた時に学んだ『お客さんの求めるているものを作る』という基本に忠実に作った結果、イベントの観客からも好評価を頂きました」

「今までの経験が生きたんですね~!」

「ところが、いくら頑張っても、目的の限られたイベント映画は、イベント内でとどまります。イベントの観客には好評でも、一般の映画の観客や批評家には見向きもされません。知人の自主映画監督さんがインディーズ映画祭で審査員に批評されているのがすごくうらやましかった」

「なるほど…。それで本格的に映画を作ろうと思ったんですね」

「そうですね。 僕の偏見かも知れませんが、全ての映像制作の中で、映画が一番難易度が高いと思います。撮影技術、照明技術、脚本技術、編集技術、演出技術など…。最高ランクの映像制作技術を集めて作られるのが映画です。何十年も映像制作の仕事をしていたら、映像制作の最高峰である『映画』に挑戦してみたくなりましたね」

「アツい…!そんな思いが40代になって爆発したんでしょうか?」

「オヤジの情熱のトンチンカンな暴走です(笑)」


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