インタビュー記事 2017.4.13

そうだ、仙台に映画館をつくろう!映画を通じて地元を豊かに「トランシネマ」の思い


こんにちは!クロフネライターのかわあみです。
本日は、東京に来ております。
一番東京っぽい場所だと思った東京駅で写真を撮ったのですが、びっくりするくらい微妙な顔になってしまいました。


今回は、ある面白い活動をしている方にお会いするため、やってきました。


いきなりですが、私は仙台の公共施設せんだいメディアテークが好きで、特に行く予定もないのに、よくHPをチェックしています。ある日、メディアテークのHPをながめていて、こんなイベントを知りました。


トランシネマ第5回上映会『移動映画館』(3月20日開催)


「あ、この映画、観たかったけど、タイミングが無くて観れなかったやつや。上映会、いいな~~。トランシネマってなんやろか?」 と、興味を持って、イベント主催団体のHPにいってみると

「トランシネマ 仙台に未来の映画館を創る」
という言葉が……

仙台に未来の映画館を創る…?
この団体、市民が運営しているって書いてあるけど…
映画館って、ほとんどは大きな経営舞台を持つ会社が運営していますよね。
市民がどうやって、映画館をつくるんだろうか…?

気になる……!!!

と、いうわけで、トランシネマの代表の方に、直接お話を聞きにきました~!!

トランシネマって?

仙台市に映画文化を浸透させる活動を継続し、文化度の向上を通じて心地よく住みやすい地域づくりを目指して2015年3月に設立された市民団体。市内に新たなミニシアターを立ち上げて運営することを目標に掲げる。映画を上映するだけでなく、地域の人々が楽しく交流できる空間を創出することがコンセプト。


今日は、トランシネマ代表の山内敬さんにお話を伺います!

山内敬(やまうち・けい)さん。1967年生まれ。仙台市出身。東京で映画の製作・配給を行う会社に勤務する傍ら、仙台での上映会活動およびシネマワークショップの運営を主催している。

どうして、仙台に映画館をつくりたいの?

「トランシネマのWEBサイトに書かれていた『そうだ!仙台に映画館を作ろう!』の一文に興味を持って、ここまで来ました!山内さん、今日はよろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」

「山内さんは、お住まいは東京なんですね。仙台の活動だったので、てっきり仙台在住かと思っていました」

「19歳までは、実家の仙台に住んでいました。就職してからはずっと東京に住んでいます」

「東京に住んでいる時間の方が長いんですね~。イベントの時は毎回、東京から仙台に向かうんですか?」

「そうですね。打ち合わせも仙台でやるので、よく仙台に何泊かしたりしますよ」

「ガッツがすごい…!そんな山内さんが、仙台に映画館を作りたいと思ったのは、どうしてでしょうか?」

「地元仙台の人々に、映画の選択肢を増やしたいんです」

「映画の選択肢…?詳しくお願いします!」

「僕は、豊かさの基準は『選択できること』だと思っています」



「確かに…。コンビニでおにぎりを買うとき、梅かおかかしか無かったら、テンション下がりますもんね。『ツナマヨが食べたいんだよ…』って心がすさむ」

「シネコンで上映される大作映画があり、一方でミニシアターでしか観られない映画もある。観る側が、気分やライフスタイルに合わせて、映画の選択肢が増えることが、豊かな生活につながると思っています」

「ふむふむ」

「ちなみに僕は、今日この後3本映画を見に行く予定なんですけど」

「今、14時過ぎているのに、この後3本も観るんですか?すごい…!」

「渋谷にあるイメージフォーラムと、アップリンクという映画館をはしごします。映画館の選択肢がたくさんあるから、上映時間の融通も利くんですよね。急に暇になった時でも、自分が観たいと思っていた映画は大抵どこかで上映されています。仙台だと、それがなかなかできないんですよ」

「なるほど。仙台に映画館はいくつあるんですか?」

「仙台は、市内に5つあります。シネコンが2つと、ミニシアターが3つですね。」

「5つか~。それって少ないんですかね?」

「いやいや、少ないですよ!大阪だったら、ミニシアターだけでも市内に5つくらいはあるんじゃないですか。映画館の数も少ないので、仙台の住民は、映画を観ることができる機会が格段に減りますね」

「言われてみればそうか…。確かに、東京だと、渋谷だけでも、映画館が何個もありますもんね」

「仙台に住んでいると、映画館のはしごがスムーズにできません」

「映画館はしごする前提なんですね。にしても、山内さんは映画が本当にお好きなんですね~!」

「そうですね、あと、実は僕、映画を製作・配給を行う会社に勤めているんですよ」

「ええ、そうだったんですか!ということは、日本の映画業界の裏事象を熟知しているのでは?」

「いや、僕の業務は、映画の製作・配給とは全く接点はありません」

「本当に?実はガッツリ映画業界を内部から牛耳っていて、仙台に100個くらい映画館を作ってやろうという計画なのでは…?」

「本当ですし、そんな変な計画もありません」

「すみませんでした。いつ頃から働かれているんですか?」

「その会社に勤めて、25年になりますね。実際に配給や制作の仕事に携わっていなくても、同僚から話を聞いて、映画に触れる機会は一般の方より多いと思います。そんな中東京に住んで感じることは、東京だけがとびぬけて映画文化の濃度が濃いんですよ」



「映画文化の濃度か~。あまり意識したことなかったな」

「大阪は、東京の次に濃いんじゃないですかね?映画館の数も多いし、どんな映画もだいたい東京から上映されるし、ほとんどのイベントが東京発信じゃないですか。それに比べると、仙台は、まだまだ薄いです」

「言われてみれば、映画の舞台挨拶イベントは、ほぼ東京や大阪で開催されていますね。映画会社や映像制作会社も、大手は東京が本社だし、映画やドラマもだいたい東京で撮影されているし」

「そうそう。生まれ育った仙台を、映画を通じて豊かにしたいんです。 もっと映画館がたくさんあって、仙台に住む人が、気軽に色んな映画を観ることができたらいいなあと、東京に住んでからずっと思っています」

「私も映画館のはしごはたまにするけど、みんなが当たり前にできることだと思っていました。恵まれていたことなんだなあ」

トランシネマの名前の由来

「そもそも、トランシネマってどういう意味ですか?」

「『trancinema』は、『変容』を意味するtransformationと、『映画』を意味するcinemaをくっつけた造語です。トランシネマには、ピューパくんというさなぎのキャラクターがいるんですけどね」



「ピューパくん!名前も顔も可愛いですね」

「さなぎって、幼虫が一度ドロドロに溶けて、全く違った姿で生まれ変わるじゃないですか。青虫がアゲハ蝶になるとか。ピューパくんが現しているのは、『変容』です。さっきも言いましたが、映画を通じて仙台の街が豊かに変容し、また関わった人々の心が豊かに変容して欲しいという願いをこめています」

「このかわいい顔にそんなかっこいい願いが…!」

「大それたことでなくても、映画館で映画を観た後に、少しでも何かが変化してほしいな、と思っています。価値観でも、気分でも、何でもいいんです」

「素敵ですね。そういえば、トランシネマのWEBサイトで、山内さんのプロフィールに『精神的に映画に救われ続けてきた』と書かれていましたが、今のお話と繋がっているんですか?山内さん自身が、映画によって変化したことがあったのでしょうか? 」

「あ、あれは、そういうことを書くとかっこいいかなぁ、と思って書きました」

「なんじゃそりゃ!」

「もちろん、悲しい時や辛い時に映画を観て、気持ちが救われたことはたくさんありますよ!トランシネマを立ち上げる時だって、映画に背中を押された気がします」

「ほうほう!詳しくお願いします! 」

「僕、日本で一番好きな映画監督は、増村保造監督なんですよ。彼は、生涯で57本の映画を監督していて、僕はほとんどの作品を観ました 」

「存じ上げなくて悲しい…。関西に帰ったらチェックさせていただきます… 」

「初監督作品は、1950年代に作られてますからね~。増村監督の映画では、登場人物、特に女性が、己の欲望に忠実に生きる姿が描かれます。その姿を観たときに、自分も、自由にやりたいことをやってやろう、と思えました 」

「欲望に忠実か~。それは例えば、どんな姿ですか? 」

「『妻は告白する』という作品で、妻が恋人への愛を貫くために、自分の夫を殺害したり、『清作の妻』では、妻が夫を戦地に行かせたくないあまり、夫の目に釘を刺して失明させたり、とかですかね~」

「ひいい…壮絶すぎるな…」

「特に若尾文子さんが演ずる女性は、壮絶なまでに美しいです。『妻は告白する』では、破滅しちゃいますけど」

「破滅まで真似しないように気を付けないとダメですね… 」

みんなで映画を深める場にしたい

「今のトランシネマのメンバー数は、Webサイトなどを見る限り、多そうですね。皆さんどうやって集まったんですか?」

「一番最初は、地元の友達と僕の2人だけで活動していましたよ。映画館を創ろう、と言ってもどうしたらいいのかわからなかったので、とりあえず2人で、仙台で上映会とワークショップを企画しました 」

「行動力がすごい!2人で全部企画して開催していたのか…」

「そうですね。でも、頑張ってイベントを継続して開催していると、イベントや活動内容に興味を持ってトランシネマに入りたいと言う人が出てきてくれました。 徐々にメンバーが増えていきましたね 」

「きっと参加したイベントが、楽しかったんだろうし、主催側の山内さんたちも輝いていたんでしょうね…!今までは、どんなイベントをされてきたんですか?」

「上映会もワークショップも、『映画を観るのは楽しいけど、語るのはもっと楽しい』をコンセプトにしています。例えば、第1回目の上映会では、インドを舞台にした映画を上映したんですけど、上映後にカレーを食べながらみんなで映画について語り合う懇親会を開きました 」




「え~!いいな~!インドの映画を見た後はカレー食べたくなるし、最高ですね!うらやましい~ 」

映画が終わってすぐ帰るのではなく、みんなで感想や意見を共有して、映画を深める場にしたいんです。ちなみに、前回の第5回公演もインド映画だったんですが、本業の研究の傍らインドの学者について研究されている、東北大学の教授をゲストとしてお招きして、映画にまつわるトークを行っていただきました 」




「教授、インドっぽい恰好してる~!専門の方の解説が聞けたら、より映画への理解が深まりますよね」

その他にも、一般社団法人ISHINOMAKI2.0とコラボした、石巻の街づくりに携わるリーダーを招き、場作り・街作りについての講義や



お酒を飲みながら短編映画を鑑賞するシネマ談義「映画とお酒のマリアージュ」など


「どのイベントも、いろんな人と話せるし、映画を通じて自分の視野が広がりそうですね~!関西でやっても面白いんじゃないですか?関西で企画してくれませんか?」

「申し訳ございませんが、関西で開催する予定はございません」

「丁寧に断られてしまいました」

いろんな観点から映画を楽しむ

「今後、イベントとしてやってみたい企画はありますか?」

「映画を『技法』から、掘り下げるワークショップをやってみたいですね 」

「映画の技法?例えばどういうものですか?」

「カメラワークや、カット割りや、照明の効果など、映像テクニックの観点から、映画を観るんです。 ゲストに、映画監督や映像制作のプロを呼んで、解説してもらってから、みんなで物語を深めたいですね。映画の見方が変化するきっかけになると思います 」

「なるほど!色んな観点から、映画を楽しめるようになることは、嬉しいですよね」

「このイベントをきっかけに、映画を作りたい人が出てきて、仙台で映画を制作してほしいですね」



「夢が広がるな~!」

映画を楽しむ方法は、観るだけじゃない

「夢といえば、トランシネマの夢は、仙台に映画館を創ることですよね 」

「もちろん、それが原点です。だけど、映画だけを上映する映画館を創りたいわけではないんです 」

「ん?どういうことですか?」

多目的な役割を持つ映画館を創ることが、私たちの夢ですね。映画を観るだけでなく、色んな方法で映画にひたれる・楽しめる空間が理想です!」

「おお~!ワクワクしますね!色んな方法とは一体…!」

映画を観る・語るが、共存する場になってほしいです。例えば、映画を観て話しながら食事ができるカフェがある。とか…」

「私も、友達とツッコミを入れながら映画を観るのがすごく好きです!でも、映画館ではそれをやると迷惑なのでできないですよね。気兼ねなく話しながら、映画を観ることができる映画館があったら、最高ですね~」

「その一方で、完全に外の音をシャットダウンして、映画に集中できるスクリーンもあります。映画にまつわる本も並べたいので、映画を観た後は、それを読んで1人で映画を深めるもよし!フリートークができるスペースも設けるので、観終わった後に、疑問に思ったことを、他のお客さんと一緒にわいわい話すのもよし!」



「そんな場所が近くにあったら毎日でも通ってしまう…!むしろ住みたい!完成したら引っ越してもいいですか?」

「それは丁重にお断りいたします」

「また丁寧に断られてしまいました。いやー、でも、話を聞いただけで住みたくなるくらい素敵な場所だな、と思いました!」

「最初にも言いましたが、僕は、豊かさとは『選択肢が多いこと』だと思っています。日常の中で、いろんな場面でいろんな選択ができることが、豊かな心や人生につながります。トランシネマでは、自分の気分や予定に合わせて、自分が求めていることが、いつでもできる場所を作りたいです 」

「自分も好きな映画を通じて、地元が豊かになるのは、素敵なことですね」

「ただ、もちろん簡単に創れるものとも思っていません。今の自分にできることは、上映会などのイベントを継続して、少しずつ夢を発信すること。かなり長いスパンで考えているので、次世代に託してもいいです。いつまでに、と期限は決めていませんが、絶対に実現したいですね 」

「かっこいいなあ…。実は私も、自分の地元に小さな映画館を作りたいな、と考えたことがあったんですよね」

「お、いいじゃないですか! 」

「ただ、思うだけで何もしていませんけどね。大変そうだし、何からしたらいいのかもよくわからないし、と思ってしまって 」

「僕たちが始めた上映会は、場所とスピーカーとスクリーンなどの最低限の上映機材さえあれば、簡単にできますよ!とにかく、自分たちのできることから、思いを発信して、人々に認知してもらうことが大事です。小さなことでもやっていれば、後からついてきてくれる人はきっといますよ」

「説得力ありすぎる…。すごく勇気をいただきました…!クロフネで、映像の小さなイベントを企画してみようかな、と思いました。山内さん、ありがとうございました!!! 」

「ちなみに、トランシネマでは、映画のレビュワーも募集しております!『自分の思いを、文章にして伝える』ことも、映画を楽しむ方法の1つです」

「おお!!! 」

「こちらの トランシネマWEB で、レビュー記事を定期的に更新しています。 レビューのコンセプトは、『自分を出す』。客観的に映画を評価するのではなく、自分の経験や性格を全面に出して、のめりこんで書いてほしいです。興味がある方は、 にお問い合わせください! 」

誰もが、挑戦できること

「映画館を創る」と聞くと、大きな事業を成し遂げるような、大変なことに思えます。
だけど、今回トランシネマの活動のお話を聞いて、「映画が好き」「映画館が好き」の気持ちがあれば、誰しもが実現できることなんだな、と思いました。

大切なのは、自分の好きなものに対する…!
くさいことを言ってしまった気がしますが、それは誰もが持っているものですよね。
山内さんからは、映画への愛、映画館の愛が、ビシビシ伝わってきました。

私自身も、映画が好きだし、映画を観終わった後に、人とワイワイ感想を言いあうことがすごく好きです。
「色んな人と感想を話せる場ってないのかな~」と、ずっと思ってはいました。

「自分にできることから、やってみる」という山内さんに感化された私は、 とりあえず、スクリーンを買うことから始めようと思います。(経費申請中)

みんなで映画観て、語りたい…!
クロフネ編集部で、映画上映会を開催したら、みんな来ておくれ~!


山内さん、素敵なお話をありがとうございました~~!




トランシネマ第6回上映会 開催します!

「トランシネマの次回の上映会が、開催決定しております!作品は、『シーモアさんと、大人のための人生入門』です! 」



「すごく心にしみる映画で、おすすめです。僕は、映画館で観た時も、スタッフと試写した時も泣いてしまいました」

「2回とも泣いちゃったんだ! 」

「ピアノの美しさ、シーモアさんの生き方が、心に響くんですよ。イベントは第1部と第2部に分かれていて、それぞれ交流会と懇親会がございます。是非みなさん、お越しください!」





(おわり)



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