イベントレポート 2018.9.25

第5回 なら国際映画祭2018 盛況のうちに閉幕 グランプリはアルゼンチン出身の監督作

9月24日、なら国際映画祭2018のクロージングセレモニーが、奈良市ならまちセンターにて開催されました。

9月20日から9月24日までの5日間、奈良市内の様々な会場で行われてきたなら国際映画祭2018。クロージングセレモニーの会場には多くの市民や関係者が訪れ、映画祭の締めくくりを盛大に祝いました。

なら国際映画祭 中野理事長挨拶

授賞式を開始するにあたり、まずはじめに、なら国際映画祭の中野理事長より感謝の言葉が述べられました。

なら国際映画祭 中野理事長
「今年は古都奈良の文化財が世界遺産登録を受けて、20周年の記念の年でした。東大寺、春日大社、興福寺の五十二段等、なら国際映画祭は世界遺産である宗教施設を存分に使わせて頂いて、今年の映画祭を開催する事が出来ました。皆さんのご協力に感謝します。この度は本当にありがとうございました。」

NIFFユース審査員プログラム クリスタルSHIKA賞発表

その後「NIFFユース審査員プログラム」の表彰式が行われました。このプログラムは、なら国際映画祭とパートナーシップを結ぶベルリン国際映画祭推薦の長編映画5作品とショートショートフィルムフェスティバル&アジアの短編映画5作品を10代の若者が審査し、それぞれの作品の最優秀作品を決定するという新企画。

まずは、審査を担当した学生から総評と共に、短編部門のクリスタルSHIKA賞が発表されました。

NIFFユース審査員プログラム 短編部門 クリスタルSHIKA賞
『HELIUM(ヘリウム)』監督 Anders Walter(アンダース・ヴェルター)

「5つの作品を鑑賞し、どれも共感でき、感情移入しやすい素晴らしい作品でした。5つの作品から1つの作品を選ぶという事は、とても難しい事でしたが、皆で時間をたっぷりと使って、最も優秀な1つの作品を決めさせて頂きました。」

「受賞作は23分という短い時間の中で、私たちにとって懐かしい夢の世界を描き、これからの未来の希望を抱かせてくれる作品でした。推薦された作品の中で特に人を幸せに出来る作品だと考えたので、この作品を短編部門のクリスタルSHIKA賞として選ばせて頂きました。」

SSFF&ASIAフェスティバル・ディレクター 東野正剛さん挨拶
「昨日の朝、上映が終わった後に、若い審査員の皆さんに率直にどうだったか感想を聞きました。驚いたのは、5本の中の彼らが良いと言った2作品というのが、その5本の中で、唯一アカデミー賞を受賞した作品だったんです。中学生・高校生の皆さんでも良い映画を見る目があるんだな、若しくは良い作品というのは、こういう若い人の心にも刺さるものなんだなと思いました。このような素晴らしい取り組み、ぜひ今後も続けていって頂きたいと思います。ありがとうございました。」

続いて、長編部門のクリスタルSHIKA賞が発表されました。

NIFFユース審査員プログラム 長編部門 クリスタルSHIKA賞
『MY SKINNY SISTER(マイスキニーシアター)』監督 Sanna Lenken(サンナ・レンケン)

「全ての作品が素晴らしかったので、本当に5本の中から1本を選ぶ事は難しかったです。映画の中の子供達は、様々な背景を持っているんですけれども、それぞれ強い意志を持っているんです。自分の意志や理想を押し付ける大人もいますが、子供達がこの強い意志を持てるように大人が子供を一人の人間として見る事が大切だと思いました。」

「グランプリとして選んだ『MY SKINNY SISTER』は、現代の誰もがなり得る物語だと思いました。両親や姉妹、友人との関係が、リアルに表現されていました。審査員のほとんどが共感をして、人に見せるなら、この作品をオススメしたいという観点で選ばせて頂きました。」

「この作品の中には、ある昆虫が頻繁に登場します。この昆虫は、何かを比喩しているのではないか?主人公の心情が隠されているのではないかと深く考えさせられました。単純な表現ではなく、複雑な心情や人間関係を工夫された方法で的確に表現されているところがこのクリスタルSHIKA賞に一番相応しい作品だと思って選ばせて頂きました。」

また、ベルリン国際映画祭の担当者からも挨拶が述べられました。

「なら国際映画祭が初めて授与するこのクリスタルSHIKA賞を監督に代わって受け取る事が出来て、大変光栄に思います。今回はベルリナーレ・スポットワイトージェネレーションと関連して、このような賞を設けて頂いた事を本当に嬉しく思います。ベルリナーレの代表に代わりまして御礼を申し上げます。河瀨直美エクゼクティブディレクター、審査員の皆さまに本当に感謝しております。この5つの作品の監督に私は個人的に会っておりますけれども、今回受賞された監督を初め、皆今回の奈良での上映を喜んでおりました。そしてユースの審査員の皆さま、審査は大変だったと思いますが、本当にありがとうございました。」

NARA-wave 学生映画部門

続いてNARA-wave学生映画部門の発表に。

NARA-waveは学生が手がけた映画作品を対象にしたプログラム。前回の参加作がカンヌ国際映画祭の学生部門に参加するなど、NARA-waveにノミネートされる作品は、海外の映画祭からも評価されています。

本年度より日本の学生作品のみならず、海外からの作品を公募し、23ヶ国の学生からたくさんの応募が寄せられました。

永瀬正敏さん(審査員)コメント
「この部門に選ばれた9人の監督は、この時点で既に素晴らしいんだと思います。この時点で既に一歩未来へ歩み始めていると思います。私は役者をやっておりますので、ぜひ将来皆さんの現場でお会い出来る事を楽しみにしております。」

審査員特別賞
『DE MADRUGADA(デ・マドゥルガーダ)』監督 INES DE LIMA TORRES(イネス・デ・リマトレス)

INES DE LIMA TORRES
「このような素晴らしい賞を奈良で初めて頂く事が出来て光栄です。本当にありがとうございました。」

そして、この部門の最優秀賞であるゴールデンKOJICA賞と観客賞をW受賞したのは、先日のPFFアワード2018でもグランプリを獲得した『オーファンス・ブルース』

ゴールデンKOJIKA賞 & 観客賞 (W受賞)
『オーファンス・ブルース』(監督 工藤 利穂)

審査員 東野正剛さん
「本当に今回難しかったです。しかし、一映画祭の運営者、一映画ファンとして本当に心を揺さぶられたという映画に決めました。この作品、キャラクター像はさる事ながら、予想がつかない物語の展開だとか、構成であったり、本当に斬新な演出が高い評価に値すると思います。」

工藤利穂監督
「ありがとうございます。私にとって、なら国際映画祭はカンヌ国際映画祭にも通じる目標であったので、すごく嬉しいです。この映画は観て頂いた後に皆さんが歩き出したり、走り出したりするような原動力をもたらせられたらなと思って、一生懸命制作しました。これからも東京等で上映予定なので、ぜひご覧になってください。」

インターナショナルコンペティション

そしていよいよインターナショナルコンペティション部門の発表。

このコンペは、監督デビュー作及び2作目のみをセレクションした、若手監督にスポットライトを当てるなら国際映画祭のメインコンペティションプログラム

まずは審査員からそれぞれ総評が行われました。

ファトマ・アル・リマイヒさん(審査員)
「奈良の町、人々、そして鹿の可愛らしさに恋に落ちました。なら国際映画祭のスタッフの皆様に心から感謝を申し上げます。河瀨直美エグゼクティブディレクター・ボランティアの皆様、本当にありがとうございます。映画作家の皆さん、本当におめでとうございます。そして他の審査員との審査も本当に楽しく行う事が出来ました。若い世代の皆さんに対してこのような取り組みを行うなら国際映画祭は素晴らしいと思います。私も若い人たちの力を信じています。ありがとうございます。」

俵万智さん(審査員)
「こちらに来るまでは、大変な事を引き受けてしまったなと思って、かなり大きな覚悟を持って参りました。1日に2〜3本と映画を観て審査をしなければなりません。ところが始まってみますと、それはそれは楽しい毎日で、ずっとずっとこの日々が続けばいいのにと思いました。たくさんの応募や審査を通ってきた本当に厳選された作品は、どれもどれも本当に素晴らしかったです。一つの作品を見るたびに心の奥が耕される、そんな気持ちでした。この素晴らしい場を設けてくださった全ての方、そして一緒に作品を楽しんだ全ての方と共に喜びたいそんな気持ちです。ここにいらっしゃる皆さんと共に、私自身もここで得た宝物を持ち帰って、次の自分の表現に活かせたらなと思っております。本当に素晴らしい機会をありがとうございました。」

クリスティアン・ムンジウ(審査委員長)
「こちらに来られて大変光栄な事だったと思います。大変素晴らしいセレクションで上映が行われましたこのなら国際映画祭。河瀨直美エクゼクティブディレクターが大変素晴らしい仕事をされたと思います。鹿にもたくさん出会えましたしね。この国際映画祭がいつまでも続きますように、これからの益々のご発展をお祈りしております。」

そして、観客賞の発表が行われました。

インターナショナルコンペティション観客賞
『THE TASTE OF RICE FLOWER』(監督 PENGFEI)

観客賞は『ザ・テイスト・オブ・フラワー』のペンフェイ監督。少数民族であるダイ族の女性が、故郷に戻り娘との絆を取り戻そうとする物語。

ペンフェイ監督コメント
「なら国際映画祭は大変素晴らしい家族的な雰囲気の温かい映画祭だったと思います。多くの友人も得る事が出来ました。河瀨直美さん、スタッフの皆さん、ボランティアの皆さん、お疲れ様でした。」

そしていよいよグランプリのゴールデンSHIKA賞の発表に。

クリスティアン・ムンジウ(震災委員長)コメント
「こういった賞を受賞するという事は、観客に対して推薦されたという事ですから、大変その意味で重要です。一つ覚えて頂きたいのは、映画作家は賞の為に映画を作る訳ではなく、観客の為に映画を作るという事。映画作家の皆様の努力に心より感謝致します。」

インターナショナルコンペティション ゴールデンSHIKA賞
『THE SNACH THIEF』(監督 アグスティン・トスカーナ)

栄えある第5回なら国際映画祭2018ゴールデンSHIKA賞受賞者は、『ザ・スナッチ・シーフ』のアグスティン・トスカーナ監督に決定!年老いた女性を傷つけてしまった主人公が罪の意識に苛まれ、行動を変化させて頂く姿を描いた作品。

トスカーナ監督には、前年のゴールデンSHIKA賞を獲得し、初日に奈良天理市で撮影を行ったNARAtive2018『二階堂家物語』を披露したアイダ・パナハンデ監督より鹿のトロフィーが授与されました。

アグスティン・トスカーナ監督コメント
「映画を選んでくださった方々、そして審査をしてくださった方々、私たちが到着してから色々とお世話をしてくださった方々、本当に感謝しております。本当に素晴らしい映画祭に参加させて頂きました。この機会を折角設けてくださったので、伝えたいのは私の家族に対しての感謝です。妻、娘たち、そしてこうやったいつも映画祭を回ってくれている家族に感謝を致します。本当に素晴らしい賞を頂き、ありがとうございました。」

河瀨直美エクゼクティブディレクター挨拶

最後になら国際映画祭エクゼクティブ・ディレクターの河瀬直美さんから挨拶が述べられました。

河瀬直美さんコメント
「怒涛の5日間が今日でクロージングとなります。思い返せば2008年からプレイベントを始めまして、今年で10年の月日が経ちました。その期間中、お世話になった方々、今世界中でその活動を広げていってくれていると思います。また、今年ここに帰って来てくれた監督達もいました。ワークショップをしたり、NARAtiveで炊き出しをしてくれたり、ボランティアで活動して頂いた方々の顔が今走馬灯のように頭を駆け巡っています。今年は“RE:CREATION”と題してまして、またここから創るという事をしようと皆で話し合いました。今回ポスターを3種類作りましたが、そこには映画をつくる・みせる・みるという映画を取り巻く3種類の意味が込められています。そして今回はユースという審査員部門を設けましたし、夏にはこの町で子供達が映画を2本つくり国立博物館でお披露目する等、新しい取り組みにもチャレンジする事が出来ました。今後、もっと多くの方に来場してもらえる映画祭にしきたいと思っております。本当にありがとうございました。」

盛況のうちに閉幕した第5回なら国際映画祭2018。観客、監督、運営スタッフの皆様、ボランティアスタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。

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