インタビュー記事 2018.10.1

映画を超えた映画『飢えたライオン』緒方貴臣監督インタビュー

皆さん、こんにちは。

『万引き家族』や『カメラを止めるな!』等、日本映画界に明るいニュースが飛び込んでくる今日この頃ですが、今年はまだまだ終わりではありません!

関西では、10月13日(土)より、いよいよ前代未聞の物凄い映画が公開となります!その名も『飢えたライオン』!!!

©2017 The Hungry Lion

監督は、大阪の児童放置事件を基にした前作『子宮に沈める』が話題となった緒方貴臣監督です。

今回は来阪キャンペーン中の緒方監督にお時間を頂きましたので、この映画がいかに素晴らしいか?監督のお話を交えて、ご紹介させて頂きます!

『飢えたライオン』あらすじ

ある朝のHRで、瞳の担任が児童ポルノ禁止法違反の容疑で警察に連行された。担任の性的動画が流出し、その相手が瞳だというデマが流れる。誰も信じないだろうと軽く考えていた瞳だったが、デマは事実のように広がっていき、瞳は追いつめられ自殺をする。 担任の逮捕と生徒の自殺は、マスコミの格好の餌食となり報道は過熱していく。そして社会によって瞳の「虚像」が作られていくのだった…。本作は、映像や情報の持つ「加虐性」を描くと同時に、それらを消費する私たちの中にある邪悪な“欲望”をあぶり出す。

©2017 The Hungry Lion

緒方貴臣監督インタビュー

『飢えたライオン』拝見させて頂きました。いや〜、まさに未だかつて観た事のない凄まじい映画でした。今年の日本映画界、『万引き家族』や『カメラを止めるな!』等、様々な嬉しいニュースがありましたけれども、『飢えたライオン』は、間違いなく今年度の邦画の中で最も衝撃的で、個人的にはナンバーワンの作品です。

そこまで言って頂いて、ありがとうございます。

でも、すごく悔しいのが、この映画を「凄いから、ぜひ観て欲しい!」と周りの知り合いにオススメするんですが、あらすじを簡単に説明すると、「あ、私、そういう重い映画、無理だから。」と拒否されてしまう事があるんです。女性からは特に。

なるほど笑。

それがもの凄く歯痒いんです。この作品は、勿論テーマも素晴らしいと思うんですが、映画的にも物凄く素晴らしく表現された作品だと思うんです。テーマが重々しいというだけで、観客から拒否されてしまうのはスゴく勿体無い事。
だから今日はこの作品が映画的な観点から見て、どのような点が優れているのか?監督のお話を交えて紹介させて頂きたいと思っております。よろしくお願いします!

こちらこそ、よろしくお願いします!

〜緒方映画のココがスゴイ! 〜
見せない事で観客に想像させる演出

見せない手法①:音で見せる

まず挙げさせて頂きたい点として、緒方監督は「映像を見せない事で、観客に想像させる」事を強く意識されているのかなと思いました。
見せないという手法の中にも色々とあるのですが、まず音で想像させるというやり方。
例えばこの作品で言えば、ラブホテルのベッドシーン、終盤の瞳ちゃんがトイレで悪阻しているような音、『子宮に沈める』では、子供を沈めるあの衝撃的なシーンも、映像は直接映さずに音だけで表現されていました。そのあたりは意識されていますよね?

そうですね。やはり映像で見せてしまうと、映像のまんまにしかならないんですよ。映像を見せないで音だけで表現すると、そこで見た人の想像力がよりリアリティを増すと思っていて、そっちの方が絶対に効果的だと思うんですよ。

映像にしてしまうと、たとえどんなに高画質で撮っても、どんなに上手い役者さんが演じても、観客の想像力には敵わないですよね。映像にはどうしても限界があるけれども、想像力に限界はないというか。

そうなんです、所詮はお芝居ですし、本当にやっている訳ではなくて、作り物っていうのはある訳ですから。

見せない手法②:役者のアップ(表情)を見せない

©2017 The Hungry Lion

あと、この映画は驚く程、役者のアップが少ないですよね。象徴的なのは竹中直人さんが演じる校長先生の体育館での挨拶シーン。竹中さんとほとんど認識出来ないくらいの引きの画でした笑。
でも思ったんです。もしあそこで竹中直人さんの顔アップが入ってきたら、この映画はその時点で、台無しになってしまうんじゃないかなと。

そうですね。

あのかなり引きのショットで見せるからこそ、自分が校長先生の話を後ろから聞いているような感覚に陥る。そして、まさにあの「一人では悩まず、ちゃんとした大人に相談してください…」とかいう挨拶が薄っぺらく感じられると思うんです。しかも挨拶の途中で切られて、次のカットにいってしまいますしね笑。

俳優さんに出て頂いて、映画を作るというのは、色んなしがらみがあると思うんです。事務所との絡みであったりとか。竹中直人さんは、誰もが認める素晴らしい役者さんですし。でも、あのシーンを見て、僕は思わず拍手してしまったんです。この監督は、作品にとって何が1番かというのを常に考え、それを最優先する姿勢をあくまで貫いていると。それって、なかなか出来ない事ですよね。

ありがとうございます。日本って、役者の顔を出すっていうのが、物凄く強いんですよ。どこかCM・広告的な意味合いが強いというか。 例えば象徴的なのはポスターですね。ポスターに必ず顔を出す。しかし、この映画のポスターは、主人公の顔にモザイクを入れているんです。

今の邦画界のお約束的な所から言うと、それって、ありえないですよね。みんな誰が出ているかで、映画を観に行くか決める、と宣伝・配給側は思っている訳で。事実、そういう側面もあると思います。

役者さんって、顔だけじゃないんです。まず、芝居じゃないですか。芝居って見た目だけじゃなくて、声だったり、佇まいだって、立派な役者の要素の一つだと思うんですよね。 
せっかく竹中さんにご出演して頂くなら、今回作品を構成する上で一番いい出演の仕方が良いと思ったので、そう考えると“声”だなと。竹中さんって、声の芝居がすごくいいんで。それで十分かなと。

いや〜、もうあっぱれです。

見せない手法③:前後のカットで見せる

それと、前後のカットのみで間の肝となる出来事を見せるという手法も挙げられると思います。
例えば車の中で瞳ちゃんが襲われてしまうシーンです。あの時、僕と同じように多くの観客が「瞳ちゃん、早く逃げて欲しい、お願い!」って思うと思うんですよ、で、その先がどうなったか気になるんですが、そこは見せない。
そしてこれは見事だなと思ったのが、次に先輩がズボンのチャックを締めながら、もう1人の男と席を交代するというカットが入ってくる。ここで、観客は中で何がどんな恐ろしい事が起こったのか、容易に想像出来てしまいますよね。

そうですね。実は、最初から性描写や性暴力シーンは絶対に見せないって決めていたんです。もちろん演出的に想像する方が、より暴力的であったり官能的であったりすると思っている所もあるんですけれども、もう一つ大きな理由があるんです。

と、言いますと?

©2017 The Hungry Lion

この映画の主人公を演じる松林うららさんのそういった直接的な性描写があったとしたら、この映画が世の中に出た時に、その一部だけ切り取られる可能性がありますよね。それが、物凄く嫌だったんです。そうあっては絶対にならない。一種のデジタルタトゥーになり兼ねないわけじゃないですか。それはこの映画が描いている事と矛盾する事にもなりますよね。だから、絶対に入れないでおこうと。

素晴らしい考え方ですね。実際ありますもんね、ある女優さんが物凄く売れて、そういう昔の濡れ場シーンだけ切り取られて拡散されるという事が。だから緒方監督は、さっき作品が第一だって仰ってましたけど、それと同時に実は役者さんの将来の事ももの凄く大切に考えれてもいるという…

▶︎▶︎▶︎NEXTー映画を単なる物語で終わらせない凄まじいリアリティの追求

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