インタビュー記事 2018.11.2

10年後の日本を描くオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』木下雄介監督インタビュー

5人の有望な若手映画監督が、10年後の日本を描くオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』が、いよいよ明日11月3日(土)より公開となります!

この映画は、香港で記録的大ヒットをし、中国では上映禁止にまでなった問題作『十年』(2015)を基に、国際共同制作プロジェクトの一環として制作された作品です。

エグゼクティブプロデューサーを務めるのは、『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭にて最高賞にあたるパルムドールを受賞した是枝裕和監督

今回は、この5本のオムニバスの中から、『いたずら同盟』を監督された木下雄介監督にお話を伺ってきました!

『いたずら同盟』企画のきっかけ

今回の木下監督の『いたずら同盟』という作品。AIによる道徳教育に管理された国家戦略IT特区の小学校という非常にユニークな世界観で作品が構成されていました。もともとどんな想いを持って、本作に取り組まれたのでしょうか?

そうですね、最初にまず道徳というものを描きたいと思ったんです。今年から道徳が新しく教科となって、教科書も国に検定され、学校の先生が子供たちを評価している。道徳ってそもそも人が行動して、時に失敗して、掴んでいく倫理観であったり、善悪の価値基準だと思うのですが、まずそれを描きたいと思いました。

そう言えば、学校の授業で道徳の時間って、ありましたね。懐かしい…

そこからより社会に馴染みやすい人間を作る、統制のとれた人間を作ろうとした時に、もし子供たちのデータを全部吸収して、先生の代わりにAIがついたらどう動くだろうと。その世界観から子供たちの生き方を描きたいと思ったんです。

象徴的な「森」について

ところで、この作品に登場するこの“プロミス”というAIシステムは、まるでお節介な親のように「野球選手を目指すのはやめた方がいい」とか、子供達の将来の進路にもとやかく口を出してきますよね(笑)。

そうですね(笑)。

この視点も大変面白いなと思ったんです。今後、例えば人の人生のログデータをたくさん取っていって、人生を悟ってしまったAIが、子供の進路に対して色々と口を出してくる、いよいよそんな時代も来てしまうのかと(笑)。

なるほど。

でも、人生どっちに進んだらいいかなんて、本当は誰にもわからない。たとえそれが家族であっても、友人であっても、AIであっても、実は誰にも予測できないものなんじゃないかなと、僕はこの映画を観て、そんな事を考えてしまいました。あの映画に出てくる暗い森が、まさに人生のイメージそのものなのでは?とも思いました。

そういった意味では、この森、実は昼間に撮っているんですけれども、撮り方やカラーグレーディングで暗く見えづらくしているんです。劇場で見るといい具合なんですけれども、敢えてこうする事で、観客の皆さんの見ようという行為を引き出したいと思いました。

ただそうは言っても、この映画の面白いなあと思ったのは最後にAIがバージョンアップしてしまうという(笑)。子供達が自分で行動して学んだ事、そこまでAIが理解を及ぼしてしまったら今度どうなるんだろうと。

そうですね。今回の作品では、最大限共感出来るものを機械にまで及ぼしてみました。もしかしたらアニメズム的な所で日本人がそもそも持っている考え方なのかもしれないですけれども、AIにも自分たちと近しい所があるのかもしれないですよね。動物・人間・AIは並列的に描こうと、今回チャレンジしてみたんです。

オムニバス映画としての完成度

それで、今回は5本のオリジナル短編企画のオムニバス作品だった訳ですが、全部通して観た時に感じたのは、全体として一つの筋が通っているというか、まとまりやチーム感を感じました。

そうでしたか。

木下監督は、この5本全体として見た時のこの作品について、どう捉えられていますか?

そうですね。香港版の『十年』が中国に対しての怒りで作り上げている映画だとすれば、僕らの日本版『十年』は、日本のシステムに、何かこう加担してしまったり、何かこう諦めてしまっているような人たちもいる中での主人公たちの葛藤を描いているというところはありますかね。僕の場合は、どのようにシステムを変えていく事ができるのか?っていう事は常に考えましたね。

エクゼクティブ・プロデューサーの是枝監督からは何かアドバイスを頂いたりしましたか?

是枝監督には、脚本や編集段階で立ち会って頂きましたが、まず僕らがやりたいという事を一番に尊重してくださいました。その上で、決して押し付けるのではなく、僕らにこう疑問を問いかけて、より思考を深めるように導いてくださったというか、まさにそんな感じでした。

國村準さんについて

ちなみに、『いたずら同盟』では國村準さんが出られていますね。これは監督からのオファーだったのでしょうか?

はい、國村隼さんが大好きなんです(笑)。

そうだったんですね!僕も、同じくです(笑)。

用務員の重田は、善悪で揺れ動く子供たちを、後ろで見守って応援するという役柄なのですが、それを佇まいで表現できるのは國村さんしかいないと思って、今回お願いをさせて頂きました。快く引き受けてくださって本当に感謝ですね。

実際にご一緒してみて、いかがでしたか?

國村準さんは脚本に書かれている事を理解するだけでなく、その裏まで読み取って頂ける方なのかなと思いました。今回の作品でも、用務員・重田のこれまで歩んできた人生を紐解いて頂いて、衣装に関しても「こうした方がいいのではないか?」とご提案頂いたんです。

衣装も勿論いい感じでしたし、最後の子供達が走っている所を眺めて大笑いしているところで、何かこう重田のこれまでの過去を感じ取ってしまう程、あそこは印象的なシーンでしたよね。

おそらく『ガキ帝国』であったり、『萌の朱雀』なんかもそうでしたけど、佇まいでそのキャラクターの人生観が立ち上がってくるというのは、脚本読んでその裏まで読み取って頂いているからなのかなと。

ちなみに僕は、『地獄でなぜ悪い』だったり、『哭声/コクソン』であったり、最近では『パンク侍、斬られて候』等にも出られてましたけど、ああいうぶっ飛んだキャラクターの國村隼さんも大好物だったりするんですが(笑)、木下監督はいかがでしょう?

あ〜わかります(笑)。次回は、そういったキャラクターを作り上げて、ぜひ國村さんに演じて頂きたいなと思っています(笑)

それは、めちゃくちゃ楽しみですね(笑)!いつか木下監督の作品でそういった國村隼さんに会える事を期待しています!

『十年 Ten Years Japan』11/3シネリーブル梅田他で全国ロードショー!

という事で、映画『十年 Ten Years Japan』は11/3(土)よりシネリーブル梅田他、なんばパークスシネマ、MOVIX 京都、神戸国際松竹等で全国ロードショーです!

ぜひ皆さま、劇場にお立ち寄りください!

映画『十年 Ten Years Japan』公式HP
http://tenyearsjapan.com/

おしまい

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